皆さんは,自分の名字がイタリアの名字だと思いますか。語尾が「o」 や「e」「a」「i」で終わっていたら,イタリア語のはずですよね。その可能性はありますが,確認のため幾つかの場所で調べることで,自分の名前について詳しく知ることができます。イタリア人は,イタリアの人口が増加し,自分の家族とほかの家族を区別させることが必要になるまでは,一般的に名字を使うことはありませんでした。15世紀の初めになると,イタリア人の上流階級の人々が名字を使い始めるようになります。トリエント公会議(1545-1563年)が開かれたころまでには,名字を使うことは当たり前になっていましたが,この公会議でバプテスマ,結婚,埋葬の記録を残す必要性が強調されたことによって,さらに一般的なものとなりました。
イタリア人の姓の由来
イタリア語の名字は,その語源から,一般的に幾つかの主要なカテゴリーに分類することができます。

- 父称(ある先祖の名前から付けられた名字)—d'Alberto(ダルベルト),d'Angelo(ダンジェロ),d'Alessi(ダレッシ)
- 地理的地域—Lombardo(ロンバルド),Di Genova(ディジェノバ),Napolitano(ナポリターノ)
- 人の描写またはニックネーム—Franco(フランコ),Betto(ベットー),Zello(ゼッロ),ガンビーノ(Gambino)
- 職業—Ferraro(フェラーロ),Carpenteri(カンペンティエリ),Muratori(ムラトーリ)
動物や昆虫,鳥,物,体の部位などが由来となっている名前もあります。Esposito(エスポージト),Innocenti(インノチェンティ),Incogniti(インコグニティ)など,幾つかの名字からは,先祖の中に,捨て子に出された子供のいる家族がいたことを特定することさえできます。自分のイタリアの名字の由来や,名前がどのように次の世代へと受け継がれていったのか詳しく知るために,以下に挙げたすばらしいリソースをご活用ください。
- The Ganino Database of Italian Surnames
- Fucilla, Joseph.Our Italian Surnames.Baltimore, MD: Genealogical Publishing Company, 1987.
- Malossini, Andrea.I Cognomi Italiani.Milano: Vallardi, 1997.
イタリア人の移住と名字の変更
先祖にイタリアからの移民がいた場合,その先祖の名前は,新しい母国になじんでいく過程で変化していった可能性があります。ルッソのようなよくある名字は,英語風になったり,変更されたりして,ラッセ,ルッサ,ラッセル,またはラスといった名前に変化した可能性があります。イタリア語から英語に直接翻訳された名字もあります。例えば,ピッコロがリトルに,キエーザがチャーチに,ビアンコがホワイトに変わっているなどです。
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皆さんのイタリア人の先祖が移住した国の文書で,名前がどう変化したかを確認してみましょう。まだ記録を調べている段階であれば,乗客名簿から先祖を探してみましょう。乗客名簿に記載されている名前のつづりと,イタリア本国の記録に記載されている名前のつづりは十中八九同じはずです。乗客名簿は大抵,船がイタリアを出る前に,出国港で記入されていました。先祖の出生記録の原本や,イタリアにある結婚や洗礼,死亡記録などの記録を追跡することで,皆さんの名字が時間とともに,どのように変化していったかの手がかりを得ることができます。イタリアの系図を始めるに当たって助けが必要な場合は,ファミリーサーチに,すばらしいイタリアの探求用リソースがあります。
一般的なイタリアの名字および名字の分布図
イタリアの名字上位10位 | |||
最も要請の多い名字 | 一般的なイタリアの名字 | ||
1. Rossi(ロッシ) | 6. Russo(ルッソ) | 1. Rossi(ロッシ) | 6. Romano(ロマーノ) |
2. Berlusconi(ベルルスコーニ) | 7. Colombo(コロンボ) | 2. Russo(ルッソ) | 7. Colombo(コロンボ) |
3. Ferrari(フェラーリ) | 8. Brambilla(ブランビラ) | 3. Ferrari(フェラーリ) | 8. Ricci(リッチ) |
4. Puddu(プドゥ) | 9. Greco(グレコ) | 4. Esposito(エスポジート) | 9. Marino(マリーノ ) |
5. Esposito(エスポジート) | 10. Ricci(リッチ) | 5. Bianchi(ビアンキ) | 10. Greco(グレコ) |
自分の名字の由来と意味を理解すると,同じ名前の家族を区別する助けになるだけでなく,イタリアでは自分の先祖の出身地を特定する鍵にもなります。なぜでしょうか。端的に言えば,特定の名字はイタリアの特定の地域のみに存在しているからです。国内の特定の地域に集中している名字もあります。

名字がイタリアで最も多く分布している場所が地図上に表示されるサイトや,表形式で表示されるサイトを利用して,名前を調査することができます。こうしたウェブサイトの多くは,現代の電話帳や歴史記録を利用して,名字がイタリアのどこにあるかをうまく表しています。名字が特に珍しいものである場合,この情報は家族の出身地を絞り込むのにとても役に立ちます。では,実際に調べてみましょう。検索自体,とても楽しめるはずです。このウェブサイトはイタリアの名字を地図上に示してくれます。まず,ホーム画面で,cerca un cognome(名字を検索する)と書かれている検索ボックスを見つけます。それから,自分の名字をボックスに入力して,Trova(検索)をクリックします。すると,その名字が存在するcomuni〔コムーネ〕(町)がどれくらいあるのかが表示されます。このイタリアの名字のサイトは一味違っています。このサイトでは,イタリアの地域ごとに名前を入力すると,特定の町にその名前の人がどれくらいいるのかを調べることができます。例として,「シチリア」の欄にAccettaという名字を入力すると,町の一覧と,町別にその名字を持つ人が何人いるかを推定した数が表示されます。町の名前をクリックすると,その町で最もよく見られる名字が10位まで表示されます。また,最も多い名字を町別に検索することもできます。Cognomixというウェブサイトは,先に挙げた2つのサイトを組み合わせたようなサイトです。最終的に色鮮やかな地図上で,州レベルから県レベル,そして町レベルまで掘下げていくことができ,名字が地図上に表示されるだけでなく,町内でその名前を持つ人や家族の推定数も表示されます。

イタリアの名字の一覧を見たいだけなら,オンライン上に良いリソースがほかに幾つもあります。意外なことを発見できるかもしれないので,ぜひ試してみてください。名字について調べるのはとても楽しいことですが,最終的には,皆さんが自分の先祖の生涯や住んでいた場所についてさらに知ることに繋がればと願っています。ファミリーサーチでは現在,イタリア国内の住民登録記録をデジタル化および索引化する大規模なプロジェクトを実施しています。自分の先祖が住んでいた地域を特定できれば,オンラインで利用可能となったイタリアの記録から,探している先祖を見つけられる可能性があります。