たる職人（クーパー）とは？

いつの時代でも、労働は常に人間ならだれでも経験することでした。多くの人が一日のほとんどを仕事に費やしています。これは今日と同じように過去にも当てはまりました。先祖の職業について学ぶことで、彼らの人生についてより深い洞察を得ることができます。今日は、たる職人について学びましょう。

たる職人の歴史

たる職人とは、木製の樽や胴が膨らんだ形の容器（バレル）、バケツ、そのほかの木製の容器を作る職人です。たる職人の職業は何千年も前から存在しており、今日でも現職のたる職人は木の樽を手作業で作っています。

たる職人の仕事は、世界中で貿易と探検を拡大するために不可欠でした。樽は食料や液体を安全に貯蔵し、船やキャラバンでの乱暴な扱いにも耐えられるほど頑丈でした。丸みを帯びた砲身形状は、積み上げや取り扱いに便利でした。樽は、今日使われている段ボール箱と同じように使われていました。

考古学的な証拠によると、たる職人の技術が木と葦を使って両端の開いた容器を作った古代エジプト人の時代から存在していたとされています。ケルト人は製鉄技術を持ち、紀元前200年ころにたる作りに金属製の輪を加えたと言われています。

古代ローマ人は後に技術を改良し、サイズを標準化し、ワイン製造に樽を使用した最初の人々となりました。ローマの歴史家大プリニウスは、彼の著書『博物誌』第XIV巻の中で樽について次のように書いています。「アルプス山脈の周辺で、彼らはワインを金輪を巻いた木製の容器に入れ、寒い冬の間は、寒さの影響からワインを守るために火を焚いておくことさえあります。」

たる作りの技術は中世ヨーロッパ全体に広まりました。たる職人はアメリカ大陸にやって来た最初の移民の中にもいて、食料やそのほかの必需品を貯蔵するための樽を製造するために必要な技術をもたらしました。

たる職人はしばしば陸と海の両方で働きました。船上では、船の物資の重要な部分であるカスクやバレル〔訳注—どちらも樽の種類〕の修理とリサイクルを担当しました。陸上では、大樽、小樽、胴が膨らんだ樽（バレル）を製造する醸造所でしばしば働きました。村のたる職人は通常、「ホワイトたる作り」と呼ばれる仕事をしていました。ホワイトたる職人は、側面がまっすぐまたは先細りのたる板付きの容器の製造を行います。このスタイルは、 攪乳器、バケツ、大型ジョッキなどの家庭用品の製造に使用されます。

たる職人は、物資を保管し運ぶための必需品を製造していたため、地域社会で高給と高い評価を得ていました。たる職人は、取引規制、標準単位、および地方政治に関与しました。14世紀には、イギリスで「The Worshipful Company of Coopers（たる職人の名誉組合）」というギルドが設立され、現在も活動しています。

20世紀には、金属製のドラム缶、輸送用コンテナ、段ボール箱の発明により、樽の需要は減少しました。今日、樽は主に酢やアルコールの熟成に使用されています。一部のアルコールは木製の容器で最もよく熟成するため、たる職人の技術は今なお受け継がれています。

たる職人の仕事

たる作りは、肉体的にも精神的にも要求の厳しい高度なスキルを持つ職業です。たる職人は特殊な道具を使い、高品質のオーク材を選び、木材を扱い、数学を使ってたる板のサイズと形状を計算し、たる板を曲げて形を整えます。19世紀には、たる職人は見習い制度を通じて仕事を学び、熟練したたる職人になるまでに最大7年かかりました。

歴史的に、たがをはめる職人は樽やバケツの周りに金属製の輪を取り付けることを専門とするたる職人の助手でした。やがて、たる職人がその役割を引き継ぎ、樽を作り、金輪を取り付けることの両方の技術を身に付けました。

たる職人の種類

たる作りには3つのおもな種類があります：ホワイト、ドライ、およびウエットです。

ホワイトたる職人は、バケツ、バター攪乳器、たらい、家庭用品を製造します。これらの製品は通常、熟練したたる職人によって製造されます。

スラックまたはドライたる職人は、小麦粉、タバコ、野菜などの乾物を入れるための樽を作ります。これらの樽は、湿気を寄せ付けないように設計されています。熟練したスラックたる職人は、1日に最大10樽（バレル）まで作ることができました。

ウェットたる職人は最も熟練しています。ウェットたる職人は、水、ワイン、ウイスキー、オイル、塗料などの液体を保持するための樽を作ります。

胴が膨らんだ樽（バレル）はどのようにして作られるでしょうか

樽を作るプロセスには、高品質のオークを選び、木材をたる板に分割し、木材を乾燥させ、たる板をまっすぐにして必要なサイズと形にすることが含まれます。胴が膨らんだ樽を防水にするために、各たる板を正確に測定してカットする必要があります。

木材をまっすぐにした後、たる板は金属製の輪の内側に筒状に配置されます。木材は、最終的な金輪を樽に配置するために柔軟になるように加熱されます。樽はしばしば「トースト」または焼成され、不純物をろ過し、木材の香味を液体(通常はアルコール)に溶出します。このプロセスは完了するまでに数時間かかります。

たる職人の職業から取った名字

名字はわたしたちのアイデンティティーの一部であり、しばしばわたしたちの受け継ぎを反映していますが、昔からそうだったわけではありません。コミュニティが拡大するにつれて、名字は個人を区別する方法となり、世襲になりました。

クーパーのように、個人の職業に由来する名字もあります。あなたの名字がクーパーであれば、自分の名前の背景を知ることで、先祖の人生についての洞察が得られるかもしれません。

クーパーという言葉は、ラテン語のcupariiに由来し、「樽の製造者」または「たる職人」を意味します。この名前は、「樽」を意味するkupeからきた中期オランダ語のküperに由来するものもあります。

イギリスでは、職業上の名字は中世にcouperとして始まりました。今日では、それは一般的な名前であり、イギリスで29位にランクされています。また、名前として使われることもあります。

樽作りは広く普及しているため、クーパーという名前は多くの言語で使用されています。関連する職業上の名字はフーパーであり、たる職人と協力して樽の周りに金輪を取り付けました。以下は、異なる言語における「クーパー」と「フーパー」という名字の幾つかのバリエーションです。自分の名字が見つかるか確認してみましょう。

あなたには職業的な名字がありますか。名字による検索で、自分の名字の由来を見つけましょう。

先祖の職業を見つけ出す

先祖の職業について学ぶことは、興味深いだけでなく、彼らの人生を理解する助けにもなります。あなたのファミリーツリーに名前を追加することにつながるかもしれません。

国勢調査記録を使って、あなたの家族の職業について知ることができます。出生記録、死亡記録、乗客名簿、徴兵記録、住所録、死亡記事にも、人々がどのように生計を立てていたかに関する情報が含まれていることがあります。

国勢調査やそのほかの記録は、FamilySearch.orgで無料で見つけることができます。

先祖とその人生についてさらに多くの情報を見つけたら、それを必ずファミリーツリーに追加してください。まだ自分のファミリーツリーがない場合は、始めるのに最適な時期は今です！