人はだれもが,容易に話すことのできないような経験をしています。どの家族にもそれぞれの歴史において暗い時期があるものです。場合によっては,今まさにそういった時期を過ごしています。そうした経験を分かち合うことはたやすいことではないでしょうが,そのような話に耳を傾けることもまた,同じくらいたやすくはないでしょう。共感を示し,愛と理解をもって対応することは,対人関係においてつながりを築くうえで重要なステップです。困難な経験にうまく対応することで,信頼を築き,愛を示し,互いの理解をさらに深めることができます。
さらに共感力を高める方法
「共感は,すべての実際的な対人関係に欠かせない要素です。だれかの立場に身を置き,その人の気持ちを少なくとも想像できなければ,わたしたちはつながりを持つことができず,孤立した人生を送ることになるでしょう。」(Elaine Walton, “Empathy and the Pure Love of Christ” [Brigham Young University devotional, July 30, 2002], speeches.byu.edu)。

共感力を高めて思いやりを示すことは,生涯にわたって益となるスキルです。自由回答方式の質問(「はい」または「いいえ」といった決まり切った答えではなく,自由な答えを引き出す質問)をし,裁きを避け,ほかの人の視点から物事を見ようとすることで,共感を示す練習をすることができます。以下のように自問してみてください。
- 彼らの状況において,わたしはどのように感じるだろうか。
- この状況に置かれたとしたら,わたしの生活はどう変わるだろうか。
- 彼らにとって,この経験を分かち合うことはなぜ大切なのだろうか。
共感を示す最善の方法の一つは,積極的に耳を傾け,裁かないことです。自分自身の経験を話すことで相手の話を遮らないようにし,求められてもいないのに助言をしません。だれかから困難な経験を打ち明けられたときには,次のような返答を考えてみてください。
- それがどれほど困難なことか,わたしには想像することしかできません。わたしを信頼して,ご自分の経験を話してくださり,ありがとうございます。
- 恐らくあなたは____と感じておられることでしょう。サポートしたい思いを示すために,わたしに何ができるでしょうか。
- そのような経験をされていることを,お気の毒に思います。単にお気持ちを受け止めてほしいですか。それとも助言を求めていらっしゃいますか。

返答するためではなく,理解するために耳を傾ける
より良い聞き手となる方法を知りたいと思ったことがあるならば,理解するために耳を傾けてください。耳を傾けている間,わたしたちは非常に多くの時間をそれに返答しようとすることに費やしています。その間ずっと,賢明な答えや適切な答えを考えつくことに終始しているのです。しかし,耳を傾けるスキルを高めたいのであれば,返答を思いつこうとするのではなく,耳を傾けようとしてください。相手の言うことに,ひたすら耳を傾けるのです。すぐに答えが思い浮かばなくても構いません。
理解するために耳を傾けることは,積極的に耳を傾けるスキルを高めるのに役立ちます。そうすることで,周りの人々とのつながりをそれまで以上に感じられるようになるでしょう。理解するために耳を傾けることで,さらに良い聞き手,さらに良い友人となることができますし,ストーリーが語られている間,相手に共感を示すこのうえない模範となります。その他のリソースについては,FamilySearch.org において,困難な時期から立ち直るための家族の能力を探求するうえで助けとなる家庭内の活動が紹介されています。