耳を傾けることは,学び,育み,改善することのできるスキルです。積極的に耳を傾けることで,ほかの人が個人的な話をしてくれるときに関心を示し,強い関係を築く助けとなります。本記事では,周りの人々との関係を深めるアクティブリスニングスキルを伸ばし,習得する方法について詳しく学んでいきましょう。
アクティブリスニング〔積極的傾聴〕とは?
積極的に耳を傾けるか,受動的に耳を傾けるか,と言われても,少し分かりにくいかもしれません。耳を傾けることに違いなどあるのでしょうか。実は,耳を傾けるのにも様々な方法があります。積極的に耳を傾けるアクティブリスニングは,話し手と聴き手の双方を最も深く引き込む聴き方であり,情報を伝え,関係を築き,相手に共感を示す助けとなります。アクティブリスニングスキルを身につけることは,対人関係や職場での経験,系図活動において役立ちます。
聴き手が純粋な好奇心と興味を持って耳を傾け,聴き方だけで相手の話を引き出していくとき,アクティブリスニングが行われています。わたしたちに身につけられる重要なアクティブリスニングスキルは3つあります。好奇心を持って耳を傾けること,自由に答えられる質問をすること,肯定的なボディーランゲージや言葉以外のコミュニケーション技術を用いることです。

3つの重要なアクティブリスニングスキル
1.好奇心を持って耳を傾ける
好奇心を持って耳を傾けることは,皆さんが訓練できるきわめて有益なアクティブリスニングスキルの一つです。好奇心を抱くことで,もっと興味を持って耳を傾け,質問を投げかけ,友人や家族が話してくれている事柄を大切に思っていることを示せるようになります。また好奇心を抱くことで,目の前の会話にもっと集中でき,頭をよぎったことを考えてしまうのを避けることもできます。とはいえ,好奇心を持って耳を傾けるのは必ずしも容易なことではありません。疲れていたり,いらだっていたり,単に興味がなかったりすると,純粋な好奇心を持って耳を傾けるのが難しいこともあります。好奇心を高められるよう,次の3つの質問について考えるとよいでしょう。
- 相手がわたしにこの話をしているのはなぜだろうか。
- この話は相手にとってどのような意味があるのだろうか。
- 相手は自分たちの関係のどのようなところにつながりを感じて,率直に話してくれるのだろうか。
周りの人々を理解しようと努めるとき,その人たちの話が自分の話のようになるため,話がより興味深いものとなります。

2.自由に答えられる質問をする
皆さんが訓練できるもう一つの効果的なアクティブリスニングスキルは,単純に質問をすることです。具体的には,自由に答えられる質問をするように意識します。例えば,祖父や祖母へのインタビューで子供時代について聞いているとしましょう。「はい」や「いいえ」で答える質問では,恐らく育った場所についての基本的な情報以外は得られないでしょう。しかし,自由に答えられる質問をするなら,自分から子供のころの様子について色々と話してもらえるようになります。若いころに抱いた気持ちや経験したことを話してもらえるかもしれません。このような質問をするなら,インタビューがもっと会話のように感じられます。自由に答えられる質問の例を少しだけ紹介しましょう。
- そのときどのように感じましたか。
- あなたにとってそれはどのようなものでしたか。
- その経験でいちばんつらかったことは何ですか。
思慮深い答えや個人的な答えを促すような質問をすることで,互いについてさらに知り,その話への好奇心を高めることができます。
3.肯定的なボディーランゲージや言葉以外のコミュニケーションを用いる
言葉以外のコミュニケーションは,アクティブリスニングを代表するスキルです。そして言語以外のコミュニケーションは,ほほえみやしかめ面だけにとどまりません。立ち方や座り方に気をつけるだけで,相手の話に興味があることを示すことができます。両足を話し手の方に向けて,相手に全神経を向けていることを示してください。腕や脚を組まず,姿勢を正して立つか座ってください。こうした小さな積み重ねが,皆さんが耳を傾けている相手に「興味がある」というメッセージを無意識のうちに送るのです。
アクティブリスニングスキルの訓練を続ける
アクティブリスニングの原則はシンプルで,少し訓練すれば,より良い聴き手となることができます。訓練する際,アクティブリスニングスキルを向上させるほかの方法についても検討してください。FamilySearch.orgでは,家族を発見し,家族とつながるのを助けるための家庭で行う活動を用意しています。耳を傾けるほかのスキルを伸ばすのに役立つ,難しい話への対応法や理解するための聴き方に関する記事を読むこともできます。