音楽は，ほかの人々とつながる力強い方法です。聴いている人も演奏する人も，音楽を通して友人や家族，見知らぬ人とのきずなを強めることができます。
世界中の人々が集まる場所で，皆さんは笑いと音楽という「声」を聴きます。
音楽は人々が互いにつながりを持てるよう助けます。それは，音楽家が共演しているのを見れば一目瞭然です。協力し，互いの話に耳を傾け，取り組みを一致させなければなりません。互いにほほえみ合っているのを見ることがよくあります。それは単なるパフォーマンスの一部ではありません。一緒に歌うという体験は，脳内化学物質を放出し，喜びを増し加え，より親密で信頼できるきずなを形成するのに役立つのです。
しかし，音楽を通してつながるために演奏できるようになる必要はありません。ほかの人と同じ曲を聞くだけで，帰属感を育むことができます。音楽はまた，共感を深めたり，ほかの人が何を考えたり感じたりしているかについて理解を深めたりするのにも役立ちます。
音楽を通して愛する人とつながる
エイミー・テナントさんの家では，音楽なしには集まりが終わらないというほど，音楽は伝統的なものです。アメリカ合衆国オハイオ州のエイミー・テナントを回想し，「母と兄弟たちは『The Cole Family』（コール家族）と呼ばれる福音の歌のグループを結成しました。」「母はベースを弾いていました。彼らはオハイオ，ケンタッキー，バージニア，テネシーを回り，「Farther Along」，「There Ain't No Grave」，「Jesus Is Coming Soon」といったペンテコステ派の古い名曲を歌いました。」
最終的にバンドは解散しましたが，親戚は伝統を守り続けています。「コール家族のリユニオンは常に家族で歌って終わります」とエイミーは話します。「母は関節炎になってから，もう何年もベースを弾いていないんです。12年ほど前，わたしはバンドに別の女の子がいる方がいいと思いました。わたしは独学でギターを弾くようになりました。もう一人のギターとピアノの奏者は，今は孫と存命のおじです。3代，4代のひ孫が歌を学んでいます。
「これらの賛美歌は，家族の葬儀の多くで歌われ，つらいときでも心に慰めをもたらしてくれたものです」と彼女は振り返ります。「みんなで歌を歌ったことは，子供のころのいちばん大切な思い出です。」
音楽を通して見知らぬ人をつなげる
昨年，音楽の教師であるカナダのブリティッシュ・コロンビア州のエミリー・アーマーは，音楽を通して，若い生徒と退役軍人の二つのグループを紹介しました。
「夫は退役軍人で，音楽はわたしの仕事です」とエミリーは話します。「国の記念日リメンバランス・デー〔軍務に従事した人々を祝う日〕のために，生徒たちに退役軍人一人一人のために何か作曲してもらおうと思いました。生徒がつながりを持つ機会を与えたいと思いました。退役軍人の方たちは，だれかが自分のことを特別に考えてくれていることを知る価値があるのです。」
5歳から19歳までの生徒たちは，教師のチャレンジを受け入れ，立ち上がりました。「彼らは特別なだれかのために作曲するのを楽しんでいました」とエミリーは言います。「その人の任務について，例えば，どの支部で働き，どのような紛争を経験したかを学びました。退役軍人に会ったことも，あまり考えたこともなかったので，近寄り難いテーマでしたが，彼らは恐れずに取り組みました。個々に合わるために，様々な工夫を凝らしました。例えば，海軍退役軍人のために海をテーマにした音楽を書いた生徒もいます。（CBC NewsのハイライトからこのYouTubeビデオを見て，彼らの作品の一部を見てください。）
生徒たちは作曲を終えると，自分でその曲を演奏している様子をビデオに収めました。これらのビデオは楽譜とともに，カナダ全土から33人の退役軍人に送られました。その中には男性も女性もいましたし，退職した人もいれば，現在服務中の人もいました。「退役軍人の方はほんとうに感動していました」とエミリーは伝えています。「彼らが大切にされていると感じられるよう望んでいましたが，それは実現できたと思います。退役軍人たちは皆，感謝のメッセージを書き，自分の写真も添えてくれました。」
エミリーは，音楽が子供たちと退役軍人の間のきずなをどのように生み出したかを振り返ります。「子供と退役軍人の間には，人生で経験してきたことにとても大きな違いがある」ことを彼女は知っています。「つまり，子供たちは自分から極端に離れたところにいる人の気持ちを真剣に想像しようとしていたのです。深く考え，共感していたのです。退役軍人の方は，次世代の人々の努力を目の当たりにし，自分たちの任務が彼らにとって重要なものであると感じていました。」
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