フルール・ド・リスとその意味と使い方

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フルール・ド・リスはフランスに起源を持つ花模様で,そのデザインと象徴性から何世紀にもわたって使用されてきました。王家の紋章として,宗教的なシンボルとして,あるいは単なる装飾として使われ,その歴史は長く豊かなものです。

フルール・ド・リスの意味とは

フルール・ド・リス(通常はfleur-de-lisだが,fleur-de-lysとも表記される)とは,飾りとして一般的に使われる花模様で,ユリやアヤメが象られています。フランス語でフルール・ド・リスは「ユリの花」を意味します。Fleurは「花」を意味し,lisは「ユリ」を意味します。

このシンボルマークは,通常3枚の花びらが根元に付いています。地味に表現されることが多いですが,装飾的で複雑なバリエーションもよく見られます。

フルール・ド・リスのシンボル

フルール・ド・リスの由来とは

フルール・ド・リスの歴史は古く,古代文明の遺物にも登場します。現存する最古の例の一つは,紀元前7世紀から3世紀にかけてヨーロッパの遊牧民であったスキタイ人の金の兜にあります。他にも古代の例は世界中にあります。例えば,インドのカニシカ王(紀元127~150年)の像には,このシンボルが描かれていました。

このような長い歴史を持つシンボルの正確な起源を知るのは難しいことです。このシンボルマークが実際にその名となっているユリの花なのか,それともデザインがより類似している典型的な黄色の花であるアヤメの花なのかが議論されています。18世紀の歴史家の中には,この名前は,レイエ川に由来すると推測した者もいました。そこには黄色いアヤメがよく見られ,かつてはフランク人が暮らしていました。フルール・ド・リスをアヤメと結びつけるもう一つの説は,中世のドイツ語で黄色いアヤメを意味した「liesch」または「lies」に由来します。

黄色いアヤメ

この花がユリであろうとアヤメであろうと,フルール・ド・リスはフランスの君主がこのシンボルを採用したことから,一般にフランスの歴史と結びつけられています。フランスは歴史的にカトリックの国であり,エンブレムもフランスのカトリックと密接に結びついています。 

フルール・ド・リスの象徴的意味とは

フルール・ド・リスは現代文化を象徴するシンボルです。フェンスの支柱のてっぺん,コンパスの北のポイント,布地の柄,数え切れないほどのデザインの細部に,そのデザインを見つけることができます。フルール・ド・リスは,それぞれの使い方に合わせて独特な象徴性を持っています。宗教的な文脈では,純潔を表すこともあります。フランスの君主は,このシンボルを神の統治権を示すために使用しました。古代エジプト人は,クレオパトラをかみ殺した蛇を表すために使いました。

以下の使用例は,エンブレムとして確立され,注目されている例です。 

スカウトにおけるフルール・ド・リスの意味

多くのスカウト組織がフルール・ド・リスをシンボルマークとして使用しています。有名な例としては,ボーイスカウト・オブ・アメリカがあります。エンブレムは赤または金のフルール・ド・リスで,その前を鷲が飛んでいます。

切手に描かれたボーイスカウト・オブ・アメリカのロゴにはフルール・ド・リスが描かれている。

スカウトで使われる理由は,スカウトの起源そのものにあります。スカウトの最初のキャンプで,スカウトのメンバーはフルール・ド・リスのバッジを授与されました。キャンプのリーダーであったベーデン=パウエル卿は,コンパスの北のポイントからフルール・ド・リスを使うヒントを得たと主張しました。彼にとっては,スカウトは信頼でき,コンパスのように道を導いてくれることを象徴していました。

また,3枚の花びらは,スカウトの誓いの3つの側面を象徴するようになったのです。これには,神への務め,自分自身に対する責任,人々への奉仕などが含まれます。

宗教におけるフルール・ド・リスの意味

キリスト教では,ユリは純潔と貞節を象徴し,フルール・ド・リスが歴史的に処女マリヤを表しているのはそのためかもしれません。11世紀の硬貨,高貴な印章,彫像,ステンドグラスの窓には,花を持つマリヤが描かれています。 

フルール・ド・リスのシンボルがある修道院の窓

マリヤはこの花と最も強い結びつきがありますが,キリストや聖なる三位一体を表すためにも使われてきました。3枚の花びらは,三位一体の3つの位格との明確なつながりを確立しました。あるいは,3枚の花びらは信仰,知恵,騎士道にも関連しています。

フルール・ド・リスとフランス王室

フルール・ド・リスは,フランク族が単一の支配者であるクローヴィス1世の下に統一されて以来,フランスの王族が使用してきました。クローヴィスが戴冠した際,フルール・ド・リスの徽章をあしらったアンプラが王の叙任に使用されました。時が経つにつれ,このシンボルはフランス君主の神聖な統治権を表すようになりました。 

ヴェルサイユ宮殿の門に描かれたフルール・ド・リス

それ以来,フルール・ド・リスはフランスの紋章,過去のフランス国旗,君主の盾に描かれています。国旗には使われなくなりましたが,フランスの紋章にはまだ使われています。

紋章におけるフルール・ド・リス

フルール・ド・リスは,紋章の中でも特に,フランスの紋章によく見られます。紋章のシンボルとして,宗教的,政治的,象徴的な要素であると解釈されてきました。

紋章のフルール・ド・リス

ヨーロッパの公的機関の多くは,このシンボルを紋章に取り入れています。例えば,フランス王国の紋章には,ロイヤルブルーの背景に複数の金色のフルール・ド・リスのシンボルが描かれています。ヨーロッパの多くの都市でも紋章に使われています。その中には,イタリアのフィレンツェイギリスのリンカンドイツのヴィースバーデンポーランドのスキェルニェヴィツェがあります。フィンランドのリルイェンダール(Liljendal)オランダのレリスタット(Lelystad)など,都市名の響きが「ユリ」に似ている,あるいは「ユリ」に由来していることから,この名前を使用している都市もあります。

家の紋章にフルール・ド・リスが登場しましたか。家系に紋章があれば,その中にシンボルがある可能性があります。家系に紋章があるかどうかを調べる

もしかしたら,家族はその花を別の形で使っていたかもしれません。ファミリーサーチの「思い出」で,家族の歴史の中でフルール・ド・リスを見つけた場所を共有したり,家族の記憶を検索して探してみてください。

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