ファミリーサーチは,2024年カンファレンスの最初のメインステージフォーラムである「ファミリーサーチ技術フォーラム」で,ルーツテックにおける「技術」にスポットライトを当てました。会場は,ファミリーサーチの最新の技術革新について熱心に耳を傾ける聴衆のエネルギーで満ちていました。
2年連続でルーツテックの司会者を務めたカービー・ヘイボーンはフォーラムをこう紹介しました。「このフォーラムは,差し迫ったテーマに取り組み,革新的な解決策を模索し,家族歴史の分野の専門家と交流する,胸躍る新時代の幕開けを告げるものです。そして,今日はこのようにたくさんの方々にお集まりいただいています。」
カービー氏は,長年にわたりファミリーサーチが記録のデジタル化や検索アルゴリズムなどの分野で,家族歴史における技術革新の最前線に立ってきたことに触れました。しかし,すごいのはこれからです。「将来に目を向けるとき,地平線に広がる無限の可能性が見えてきます。」
RootsTech.org でファミリーサーチ技術フォーラムの全編を無料で視聴いただけます(自動翻訳キャプションあり)。もしくは,このフォーラムで紹介されている以下の胸躍るイノベーションについて,読んでみてください。
注: この記事では多くのイノベーションを採り上げており,その多くは試験段階にあります。一部の言語でのみ利用可能なものもあります。
なぜイノベーションなのか
ファミリーサーチのソフトウェア開発ディレクターであるブレット・ウィークスは,今年のルーツテックのテーマである「リメンバー(思い起こす)」という言葉をまず採り上げました。「なぜ思い起こす時間を取るのでしょうか。」ブレットは,過去を思い起こすことで,つながりや帰属意識,自分のルーツや目的を感じることができると述べました。「思い起こすことは,人生に連続性を与え,自分が何者であり,どのような人物になりたいかについての方向性を与えてくれます。」
ブレットは,技術革新は常にファミリーサーチに存在してきたものの,ファミリーサーチはテクノロジー企業ではないと述べました。ファミリーサーチは,サービスを提供する団体です。イノベーションの価値は,人々が過去,現在,未来に渡って家族を結びつけられるように,ファミリーサーチが手助けできるかによって測られます。
AIによって家族歴史はどのように促進されるか
生成AIによって,ファミリーサーチで行われる作業が加速しています。
ファミリーサーチのAIポートフォリオディレクターであるアンディ・ゴールドは,ファミリーサーチがAIを脅威に感じているかよく聞かれると言います。アンディは,AIは脅威の存在ではなく,むしろツールだと答えます。「わたしたちの目標は,人々をつなぐことです」と説明しました。「AIがキッチン用品であるなら,わたしたちの『秘密の材料』は皆さんであり,皆さんのストーリーや,人々を称え,思い起こすことから生まれる愛であることを心に留めてください。」ファミリーサーチは,AIの「ディープラーニング」アルゴリズムを用いて膨大な記録のアーカイブを処理し,国勢調査や生涯記録などの従来の記録における人々の関係について新たな理解を得ています。これらのアルゴリズムは,手動や機械学習の抽出方法よりも迅速に情報を処理します。

機械学習は,次のことに役立ちます
- 歴史文書を翻訳して,ユーザーが話せない言語で記された記録にアクセスできるようにする。
- 記録を書き起こして,全文検索を可能にする。
- 都市全体の家系図を作成する。
- 地域全体の先祖の物語と包括的なビューを生成する。
ファミリーサーチは,わたしたちの人生と先祖の人生の間のつながりを明らかにすることによって,共有されたグローバルコミュニティーを育むために,生成AIを用いてその方法を探求し続けます。
ファミリーサーチヘルパー:あなたのパーソナルアシスタント
あなたの家族歴史を進めるにあたり,助けが必要なことはありませんか。24時間体制のパーソナルアシスタントがいたらどうでしょうか。
ヘルプと学習のプロダクトマネージャーであるビル・マンガムは,新しいファミリーサーチヘルパーについて説明しました。ファミリーサーチヘルパーとはつまり,AIを活用した家族歴史の専門家です。ファミリーサーチヘルパーは,あなたが尋ねる質問に「自然言語」,言い換えれば,あなたが他の人と話すときに使う言葉で答えてくれます。
ファミリーサーチヘルパーは,答えを見つけるためにヘルプ記事やレッスン,ファミリーサーチ・リサーチウィキ,ファミリーサーチブログなど,ファミリーサーチのヘルプコンテンツをすべて検索します。ルーツテックのコンテンツも幾つか組み込まれており,今後もさらに追加される予定です。
ビルは,ファミリーサーチヘルパーを使って答えを得るのがいかに簡単かを示すために,幾つかの例を分かち合いました。
例えば,「おばあちゃんをファミリーサーチのツリーに追加するにはどうすればよいか」と尋ねることができます。

あるいは,「ドイツ人の先祖を見つけるにはどうすればよいか」といった,より複雑な質問を尋ねることもできます。

ファミリーサーチヘルパーは,家族歴史に関する質問の答えを見つける方法に革命をもたらしています。ファミリーサーチヘルパーは,ファミリーサーチラボで試すことができます(ラボについては以下で詳しく説明します)。
全文検索で家族を見つける
何十億ものファミリーサーチの歴史記録が索引化され,検索可能となっています。しかし,さらに何十億もの記録が索引化されていないため,その中から自分の親族を見つけるのは,不可能ではないにしても困難になっています。これらの記録の膨大な量は,索引作成に何年ものボランティアの時間を必要とするでしょう。
ファミリーサーチのユーザーエクスペリエンスデザイナーであるミシェル・バーバーは,これらの索引化されていない記録の検索を可能にする新しい全文検索ツールを発表しました。全文検索では,AIを用いることで,人間がかける時間の数分の一で画像を書き起こします。記録が転写されると,ユーザーはページ上の任意の単語を検索することができます。検索用語は,画像および文字起こしで強調表示されます。
全文検索の最もすばらしい点の一つは,先住民や奴隷だった人々など過小評価されている人々を家族歴史家が見つけられるという点です。
現在,1億件の記録が全文検索パイロット版で利用可能であり,今後もさらに追加される予定です。ファミリーサーチでは,可能であれば,索引化されていないすべての記録を全文検索できるようにする予定です。
この新しいテクノロジーはまだ開発中であり,一部の転写は正確ではない可能性があります。しかし,テキストの多くは正しく,ツールは常に改善されています。将来的には,AIが生成した文字起こしをユーザーが修正できるようになります。
ボランティアは今後も必要ですか。もちろんです。ミシェルは,将来的には,これまでにない方法でボランティアがAIとペアを組むようになると説明しました。(ボランティアの機会を確認するには,「参加する」にアクセスしてください。)ファミリーサーチラボにアクセスし,テストドライブの全文検索を行ってください。
ファミリーグループツリーと協力する
ファミリーサーチは,ファミリーツリー内の生存している個人のプライバシーを注意深く保護しています。しかしこの保護により,生存している家族が互いに協力することも困難になっています。ファミリーツリーのプロダクトマネージャーであるトッド・パウエルは,この課題に対処する,長い間待ち望まれていた新機能,ファミリーグループツリーを発表しました。
ファミリーグループツリーは,非公開の共有家系図です。ファミリーサーチのすべてのユーザーは,1 つのファミリーグループを作成することができます。作成者がグループ管理者となり,ほかのユーザーを招待して参加してもらうことができます。
グループのメンバーのみがグループツリー内の情報を見ることができ,プライバシーが保護されます。メンバーは,情報源や思い出を添付することができます。また,ほかの人の投稿に「いいね」をしたり,コメントを追加することもできます。さらに,ファミリーグループツリー内の生者を公開ツリー内の死者につなげることができます。
またファミリーグループツリーは,より経験豊かな家族歴史家が安全な環境でほかの人々に助言を与えるのを可能にします。管理者は,グループメンバーにタスクを割り当てることもできます。現在,ファミリーサーチラボで試すことができます。
新しいアプリで家族のつながりを強める

トッドはまた,「Together」という新しいモバイルアプリも発表しました。このアプリは,読み聞かせを通して家族のきずなを強めることを意図しています。
「Together」アプリは,FamilySearch.org の発見の体験を青少年が楽しめるように再構成したものです。また,家族の思い出や写真を互いに共有する方法など,家族が楽しめる新機能も幾つかあります。
ファミリーサーチラボにアクセスして,「Together」アプリを試してみてください。
ファミリーサーチラボ
ファミリーサーチラボについては,設計およびエンジニアリングディレクターのクレイグ・ミラーが,ファミリーサーチが提供するこの胸躍る新機能を詳しく説明しています。ファミリーサーチラボは,ユーザーが主要な機能にいち早くアクセスできるようにするためのものです。フィードバックはこれらの機能を改善するために強く推奨され,使用されています。ページの左側にある「フィードバック」ボタンを使えば,簡単に入力できます。
クレイグは,これまでのフィードバックに感謝の意を表し,すべてのフィードバックが開発チームによって確認されていると述べました。また,フィードバックをする際は親切な気持ちでするようにユーザーを励しました。(感情を持つ実在の人々が,あなたのフィードバックを読んでいることを忘れないでください!彼らは皆にとって便利なツールを作ろうと懸命に努力しているのです。)
クレイグは,実験的な機能を使って情報を入力した場合,その情報がライブシステムに反映されることをユーザに保証しました。この機能の実験が終わり,標準仕様となっても,入力した情報が失われることはありません。
最後に,ラボページの一番下に,あなたのすばらしいアイデアを共有する方法があります。あなたのアイデアを歓迎します!ユーザーからのアイデアは,現在 FamilySearch.org で利用できる多くの機能の基礎となっています。
これらの機能はまだ開発中であるため,ラボページでは,あなたの使う言語に翻訳されていない実験も表示される場合があります。これらは言語に関係なくすべてのユーザーが試すことができます。

質疑応答
フォーラムは,プロダクト・マーケティングのサラ・ハモンによる質疑応答で締めくくられました。注目すべき点を幾つかご紹介します。
Q:全文検索で利用できるようにする記録は,どのように決めるのですか。
A:ファミリーサーチは「価値の高い」コンテンツ,つまり,ほかでは入手が困難な情報を含む記録を優先します。
Q:ファミリーサーチについて助けが必要な場合でも,引き続きどなたかに連絡を取ることはできますか。
A:はい,すべてのサポートチャネルをご利用いただけます。ファミリーサーチヘルパーは,助けが得られるもう一つの方法です。
Q:今後,AIは系図学者に取って代わるのでしょうか。
A:いいえ。人間は機械に取って代わられることはありません。AIの役割は,系図学者の取り組みを補強し,加速させることです。
Q:モバイルデバイスでファミリーサーチラボにアクセスできますか。
A:はい,デバイスのウェブブラウザーでアクセスできます。ただし,現在のところラボ用のモバイルアプリはありません。
未来に向かって進む
興味がわきましたか?あなただけではありません!前述のように,ルーツテックのウェブサイトでフォーラム全体を視聴することができます(自動翻訳キャプションが利用可能)。また,ファミリーサーチラボと「参加する」にアクセスして,これらのツールに精通し,フィードバックを共有してください。家族歴史のすばらしい未来を創る一翼を担いましょう。
ファミリーサーチでは,あなたとあなたの家族をつなぐことを大切にしており,楽しい発見体験や家族歴史サービスを無料で提供しています。それはなぜでしょうか。わたしたちは家族を大切にし,世代をつなぐことは,現在そして永遠にわたってわたしたちの生活を向上させることができると信じているからです。ファミリーサーチは,非営利組織であり,末日聖徒イエス・キリスト教会によって運営されています。わたしたちについてもっと知りたい方は,こちらをクリックしてください。