この古代フィリピンの書記体系であるバイバインは、フィリピンの人々の歴史、遺産、文化を記憶し、称えるためによみがえりつつあります。毎年 8 月には、全国各地で「Buwan ng Wikang Pambansa」(国語月間)が 1 か月間開催されます。最近では、こうした行事にバイバインのような先住民族の言語を祝うことも行われています。
この重要な文字とあなたのフィリピンの伝統についてもっと知り、Buwan ng Wikang Pambansa の間、そしていつでもお祝いできるように役立ててください!
バイバインとは何ですか
バイバインは、1565 年にスペインがフィリピンを植民地化する前の文字です。「バイバイン」という名前は、「つづる」を意味するタガログ語の語根「baybay」(バイバイ)に由来し、タガログ語に加えて、イロカノ語、パンガシナン語、ビサヤ語など、ほかのフィリピン語を書くために使用された文字です。

バイバインは、子音と母音を同じ記号に組み合わせた書記体系であるアブギダです。これらのスクリプト記号は、文字ではなく音節を表します。バイバインには、14 の音節子音文字(Ba、Da、Ga、Ha、Ka、La、Ma、Na、Nga、Pa、Sa、Ta、Wa、Ya)と3つの母音文字(a、e-i、o-u)があります。
各子音文字は、子音と母音「a」を組み合わせたものです(例えば,子音「B」は「Ba」になります)。「a」の音を別の母音に変える必要がある場合は、「kudlit」と呼ばれる発音区別符号が使用されます。この符号はドットまたは傾いたコンマのように見え、母音を「e-i」に変更する場合は文字の上部に、母音を「o-u」に変更する場合は文字の下部に配置されます。
基底文字に付随する母音を取り除くには、記号の下に「pamudpud」(,)、「krus」(+)、または「ekis」(x)を配置します。この例では、下の (,) が 「Ka」の 記号から「a」の母音を取り除き,音節を「K」のみとして読ませます。

フィリピンのバイバイン文字の歴史
バイバインは、1600 年代半ばまで、フィリピンの一部、特にルソン島地域で一般的に使用されていました。記録作成、詩、手紙、儀式、式典で使用されていたことが分かるでしょう。これは、フィリピンの数十の先住民族の文字の一つです。
1593 年に印刷され、フィリピンで最も早く出版された書物の一つに『Doctrina Christiana』という題名のものがあります。この 74 ページの書物は、スペイン語、ラテン文字で記されたタガログ語、そして古代のバイバイン文字で記されたタガログ語で書かれています。しかし、スペインの支配が島々全体に拡大するにつれて、ラテン文字が使われるようになり、かつてのバイバイン文字は影を潜めました。
バイバインで読み書きを学ぶ
この古代フィリピンの書記体系と幾つかの例を見てみましょう。
タガログ語で誕生を意味する言葉は「kapanganakan」です。まず、音節を区切ります:
Ka-pa-nga-na-ka-n
各音節に一つの記号があります。「nga」という音には独自の記号があることに注意してください。kapanganakan の最後の記号の下にある(,)記号は、「na」の音節を語尾の「n」のみに変えます。

結婚を表すタガログ語は「kasal」です。これがバイバインで記された言葉です。

タガログ語で死を意味する言葉は「kamatayan」です。これがバイバインで記された言葉です。

オンラインのその他のリソースは、バイバイン文字を深く学び、研究するのに役立ちます。また、ワードプロセッサ用のバイバイン文字フォントをダウンロードするのも楽しいかもしれません!
現代におけるバイバインの使用
バイバインは今日でも使用されており、書道、入れ墨、衣服などの芸術的要素に最もよく使用されています。現代作家の中には、バイバイン文字で小説や詩を書いた人さえいます。
最近、フィリピン政府は、看板、食品ラベル、政府文書、新聞、教育システムにおいて、バイバインを再び確立し、この文字を普及、維持するための行動を起こしました。2018 年、フィリピン議会の基礎教育・文化委員会は下院法案 1022 号を承認しました。国家書記体系法として知られるこの法案は、既存の在来文字の一つとともに、バイバインを共有国家書記体系として宣言しました。
今日、サント・トーマス大学への訪問者は、世界最大の古代バイバイン文字のコレクションを見ることもできます。
バイバインとアリバタの違い
バイバインは「アリバタ」と呼ばれることもあります。ポール・ロドリゲス・ヴェルゾサは、1914 年に「アリバタ」という用語を発明しました。それは、アラビア文字の最初の 3 文字である「アリフ」「バア」「タア」(アリ・バ・タ)に基づいて提案されたものです。しかし、バイバインを研究する学者たちは、この文字は 900 年以降にカウィ文字やほかのインド文字から派生したもので、スペイン人が来るまで広く使用されていたと述べています。その文字がアラビア語に由来するという証拠がないため、これらの学者たちは「アリバタ」という用語は不正確であり、その文字は厳密に「バイバイン」と呼ぶべきだと提案しています。
バイバインとほかの書記体系との比較

世界には、古代と現代の多くの文字体系があります。最も一般的に使用される 5 つの体系は、アブギダ(アルファ音節と呼ばれることもあります)、アブジャド、アルファベット、ロゴグラフィー、および音節文字です。
アブギダ
バイバインは一つのアブギダにすぎません。子音と母音を一つの記号に組み合わせることに基づく書記体系を持っている文化はほかにもたくさんあります。これらのアブギダには、ビルマ語、タイ語、ラオス語などがあります。
アブジャド
アブジャドは、子音の記号を含む書記体系であり、母音の記号はありません。ヘブライ語とアラビア語は、アブジャド書記体系を使用する言語の例です。次のような、母音のない英語のテキストを解読を試すようなものを見たことがあるかもしれません:
F Y CN RD THS THN Y CN PRBBLY RD NYTHNG!
この例は、アブジャド書記体系の仕組みと似ています。読み手は、その言語が読まれたり話されたりするときに、直感的に必要な母音を単語に補います。
アルファベット
アルファベットは、一つの記号を使用して特定の音を表し、それらの音の記号を組み合わせて単語を形成します。世界の人口の約 70 %がラテンアルファベットを使用しています。
ロゴグラフィー
ロググラフィー書記体系は、一つの単語を表す一つの記号に基づいています。この種類の文字を使用する言語には、エジプトの象形文字と漢字が含まれます。
音節文字
音節文字は、アブギダと同様に、一音節を表す記号が一つあります。しかし、アブギダ系では音韻的に関連する音節は互いに似ていますが、音節文字では音韻的に関連する音節はまったく異なって見えます。
例えば、チェロキー語の音節書記体系の「Ma」(Ꮉ)、「Me」(Ꮊ)、「Mi」(Ꮋ)の記号は、子音の「M」を共有しているにもかかわらず、異なる記号を持っています。日本語のひらがなとカタカナも音節文字の一例です。
あなたのフィリピンの受け継ぎについてもっと学ぶ

これで、ファミリーサーチ・フィリピンのページを使って、フィリピン人の家族や受け継ぎの探求を始めることができます。ここで、バイバインの名前変換ツールを使ってバイバインで姓を書き、家族歴史ファイルの名前シートをダウンロードして印刷することができます。(注:Baybayin Surname Discoveryページは英語でのみ利用可能です。)
皆さんのお話をぜひ聞かせてください。以下のコメント欄で、フィリピンの受け継ぎがあなたにとってどれだけ重要なのか、ストーリーを共有してください。
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