フランス系アメリカ人のパン職人

アポロニア・ポーリーン

母親が作ったパンかごに抱かれ，父親のパン屋の庭で育ち，パリの最も斬新と知られる有名なパン屋の指導者である早熟な後継者であるアポロニア・ポーリーンは，3世代にわたって新境地を開拓してきた伝統的なパン作りの指揮を執り，パンの世界では唯一無二の権威です。
両親をヘリコプター事故で亡くした後，18歳で家業を継ぎ，同時にハーバード大学の学位を取得を目指しながら，祖父の『パンのほんとうの味』（“le vrai gout du pain”）と父親の『レトロ—改革』（“retro-innovation”」）を，自らの「伝統に基づく現代」的な哲学を基に実現させました。
ポーリーンの手法と哲学はシンプルですが，実際の行動は見事なものです。ポーリーンでは，パン職人は五感を駆使し，標準化を図るための調整をやめ，代わりに小麦粉とサワードウの材料に存在する命を認めながら，パンを焼き上げます。同じ材料でも同じパンは一斤もありません。しかし，その安定した品質は，まさに職人技の賜物です。アポロニア・ポーリーンにとってパン作りとは，パン職人各個人とその作品の変遷であり，穀物が発酵の力を借りてパンに変化することです。パン屋とアポロニアは，パン作りだけでなく，あらゆる分野における職人技のチャンピオンとして君臨しているのです。
アポロニア・ポーリーンは10冊以上の本の著者または寄稿者です。最新の著書には，『Poilâne： The Secrets of the World-Famous Bread Bakery』があり，Epicuriousが選ぶ「New Fall 2019 Cookbooks We Can’t Wait to Cook From」， Food & Wine 「18 Essential New Cook- books for Fall」， アマゾン社が選ぶ 「Biggest Cookbooks of Fall」，Chowhoundが選ぶ「Best New Cookbooks and Best New Baking Cookbooks for Fall 2019」に選出されました。